3歳前後になると、「ルールがなかなか理解できない」「勝ち負けがかみ合わない」といあった場面に出会うことは少なくありません。
私自身、保育園で息子君と同級生のお友達がじゃんけんをしている時、その“すれ違い”に思わずハッとしたことがありました。
同級生のお友達はルールを理解しているのに、息子君は「ぼくはいつでも勝ち!」と自信満々。
大人から見れば簡単なゲームですが、実はじゃんけんは3歳児の発達(前操作期)にはとても高度な遊び。
この記事では、そんな3歳前後ならではの姿を、息子君のエピソードとともに振り返っています。
じゃんけんが噛み合わなかった、ある日のお迎え
ある日、保育園へ迎えに行った時のこと。
同級生の女の子が息子君に「じゃんけんしよ~!」と声をかけてくれました。
「いいよ~!」と元気に手を出す息子君。
「じゃーんけーん、ポイ!」

女の子はパー。
息子君はグー。
と思いきや、「ぼくのかち~!」と満面の笑みの息子君。
当然、女の子はキョトン顔からやや怒ったような表情で「負けだよ!」と一言。
息子君は「???ぼくの勝ちだよ?」と不思議そうで、両者の間に小さなすれ違いが生まれていました。
じゃんけん講習会を開いてみたけれど・・・
その日の夜、娘ちゃんも巻き込み、おうちで“じゃんけん講習会”を開催。
「グーは石だよ」
「パーは紙」
「チョキはハサミね」
手の形から練習しましたが、チョキを作るのもまだ難しい様子。そして、ルールを説明しても、理解しているような…していないような…。
その姿を見ながら
「あぁ、この“分かるようで分からない”のがまさに、前操作期の姿なんだな」と感じました。
前操作期の子どもにとって、じゃんけんは高度な遊び
前操作期(およそ2~4歳頃)は、自分の視点が世界の中心になる時期と言われています。
相手が何をだしたか、それと自分を比較する、さらに勝ち負けという“社会的ルール”を理解する。
じゃんけんは、この要素がすべて必要。
3歳の子どもにとってはとても難しい遊びなんですよね。
だからこそ、「ぼくのいつでも勝ち!」という息子君の姿は、ごく自然な発達のひとこま。
女の子がしっかり理解しているのをみると、「男女差?」と思うこともありますが、発達のスピードは本当にそれぞれで、どちらが早い・遅いではなく、その子のリズムがあるのだろうなとかんじました。
3歳半で芽生えた“負けたくない…”という未来を考える気持ち
時は経ち、息子君が3歳半になった頃。
ある日、ヨーグルトが一つだけ残っていて、娘ちゃんとじゃんけんで決めようということに。
すると息子君、手を出す前にしばらく考え込む表情をしました。
「勝てるかな…負けたらどうしよう…」
そんな気持ちが伝わってくるようでした。

結局じゃんけんは負けてしまい、大泣き。
でもその涙の裏には
“相手がいる”ということを理解し始めた証
“勝ちたい・負けたくない”という気持ちが育ってきたサイン
がしっかり見えたように思いました。
助産師として感じる、今だけの可愛い育ちの姿
3歳頃は、子ども達の世界が「自分ひとり」から「相手とつながる世界」へ広がっていく時期。
じゃんけん一つの中にも、
・手先の発達
・社会性の育ち
・相手の気持ちを想像する力
・勝ち負けの理解
といった沢山の成長が隠れています。
息子君の泣いた顔でさえ、「あぁ、育っているんだなぁ」と感じられる大切な時間。
子ども達の発達は本当にそれぞれで、急がなくていい。
そのペースごとまるっと楽しむことが、親にとっての一番の幸せなのかもしれません。



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